めまいがあるときに、からだの平衡に乱れが生ずるのと同じように、眼にも乱れた動きが現れます。眼が振り子のように動くので、これを眼振といいます。眼振は、一般に何かを見つめているときより、眼を遮ったときによく現れます。そこで、暗い部屋で、特殊な眼鏡(フレンツェル眼鏡)をかけて検査します。
この眼鏡をかけると、目の前がよく見えませんが、検査をしている人からはよく目の動きが観察できます。眼鏡をかけて、首をいろいろな位置に動かして検査します。目の動きの乱れは、からだの平衡が乱れるほどひどくないときでもからだの平衡の乱れを反映するので、眼振の検査をすることによって異常を詳しく分析することができます。
眼振の検査は、めまいのうちでも最も重要なもののひとつです。フレンツェル眼鏡をかけて検査する場合は、眼を閉じてしまえば検査できませんし、多くの人の目で確かめることも、記録に残して検討することもできません。
そこで、眼振を電気的にとらえて記録するのが電気眼振図検査です。左右の眼の外側と、一方の眼の上下と額に電極をはりつけるだけで、眼の左右、上下への動きが記録できます。
こうして、左右・上下を見たとき、眼をおおったとき、眼を閉じたときの状態での眼振の有無を記録します。つぎに、眼がスムーズに動くかとか、眼の運動が十分早くできるかなどを検査しながら記録します。眼のスムーズな動きの検査は、眼の前にある黒い点が左右にゆっくり動くのを眼で追うことで検査します(視標追跡検査)。
正常ですと眼はスムーズに黒い点を追うことができますが、頭の中の血管の病気とか、腫瘍などのときは、これがギクシャクした動きになります。
眼が十分早く動くかどうかの検査では、黒い縦線がひいてある大きな筒の中にすわって検査します(視運動性眼振検査)。筒は、はじめゆっくり、だんだん早く、そしてまたゆっくりとなり、停止します。黒い線が筒と一緒に回りので、この1本1本の黒い線を目でとらえるように努力します。
正常ですと、かなり早い速度まで黒い線を見ることができますが、頭の中の病気ではこれが十分に見られず、しばしば、ゆっくりしたスピードでも動く黒い線をまったく見ることができなくなります。この異常の程度を、眼振図により適確に診断します。
めまいは、耳の病気や首の骨や筋肉の病気でもしばしば起こります。そのため、耳と首の骨のレントゲン撮影が必要となることがあります。
脳血管に異常があることが疑われる場合には、血管撮影が行われ、頭の中に腫瘍などのあることが疑われる場合には、コンピューター断層撮影(C.T)が行われることがあります。